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書名 フランスジュネスの反乱 : 主張し行動する若者たち
著者名 山本三春
分野 社会思想
書評  フランスのいわゆる「郊外問題」は深刻だ。車が炎上するシーンを画像で見た人も多いと思う。2005年11月7日には、フランス全土で一日で5千台以上が焼かれた。「ジュネス」とは、フランス語で「若者たち」のこと。それは確かにジュネスの暴動によるものだったが、むしろ「ラカイユ(社会のクズども)!」といって挑発したのは、当時の内務相・サルコジ(現大統領)の方だった。なぜ、ジュネスは反乱に及んだのか?直接のきっかけは、治安警察に追いかけられ、変電所に追い込まれて感電死した15歳と17歳の2人の少年の事件だった。本書は、一日本人女性記者が、その全体像を描く渾身のルポルタージュである。当地のフランス人記者でもやらないような現場取材と丁寧な資料の裏づけを伴っている。たまたま評者の私は2006年4月から1年間、ちょうどフランスに研修で滞在する機会を得ていた。4月早々に研修先の大学に行ってみると、校舎は学生たちのストライキでバリケード封鎖中。入れない。「社会のクズども」とは呼ばれはしない国立大学の学生や高校生たち―こちらの反乱は、反CPE(アンチ・セーペーウー)の全国ストだった。CPE(セーペーウー)とは「初回雇用契約」といって、26歳未満の者を雇用した企業は向こう3年間社会保障負担を免除され、2年間は理由なしで若者を解雇できるという、とんでもない法案であり、これへの反対運動であった。本書は、当時フランス国内で起きた郊外暴動と反CPE運動とが、つまり周縁化される移民の若者問題とフランスの雇用問題とが、いかに結びついているかを理解させてくれるだろう。なぜ、あのサルコジが大統領になり、なぜ政治やマスコミが、「若者の反乱」にウンザリした表情をみせるのか、1年間滞在してもわからなかったフランス社会の実態を、この日本女性がひとりで書いたルポは、私に多くの事実を教えてくれた。ルポルタージュの力を久々に感じた。



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