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紹介者 佐橋克彦先生
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書名 茶色の朝
著者名 フランク パヴロフ
分野 フランス文学
書評 (再掲載:2006年5月掲載)
 インスタントコーヒーの話ではない。「茶色」に染められ、染まることに違和感をもたなくなっていく世界が行き着く先の物語である。
 ある日、「科学者」たちによって「茶色」の犬や猫が絶賛され、それ以外の模様のものは処分されることになる。そして、新聞、出版社、競馬、ラジオ…。何かによって続々と社会が「茶色」に染められていく。この物語の主人公の「俺」はぶち猫を処分し、新しく頭の先から足の先まで茶色の猫を飼い、いつもどおりの生活を横目に「きっと俺の心配性がばかなんだ」、「規則を守ってるんだと安心して、(友人は)死んじまった昔の犬のことなんてすぐに忘れるだろう」、「茶色に守られた安心、それも悪くない」と過ごしていく。
 だが、ついに、「その日」がやってくる。過去にさかのぼって、一度でも「法律に合わない犬あるいは猫を飼った事実がある場合は違法」となり「国家反逆罪」とまで告げる「茶色ラジオ」…。
 こうして、最後に「俺」はどうなってしまったのか?本書では読者の想像に委ねられている。しかし主人公は最後にこう独白する。「他の人たちだって、ごたごたはごめんだからおとなしくしているんじゃないか?」と。
本書は短いながら、今の時代にあって、深く考えさせられる一冊である。読了するのにも時間は要しない(50ページ足らずだし、見開きイラストもある)。しかし、「考え続けること」の重みをじわじわ感じさせられる。
 これからの日本が「茶色の朝」を迎えないためにも、とりわけ若い世代にぜひ読んでもらいたい一冊である。



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