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紹介者 高島淑郎先生
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書名 日本断層論 : 社会の矛盾を生きるために
著者名 森崎和江, 中島岳志
分野 日本文学
書評 書名にある「断層」、これを砕いていえば「くいちがい」「ずれ」。そう、昔も今も私たちの社会にはこの断層が幾重にも走っている。1927年生まれの著者・森崎和江は、たとえば朝鮮と日本の、女と男の、地方と中央の、そして被害者と加害者の間に横たわる断層を直視し、その「ずれ」を指でなぞるようにして生きてきた。森崎からみて1975年生まれの北大准教授・中島岳志は孫世代。この中島が森崎に寄り添ってインタビューする形でこの書は綴られている。閉塞感に覆われた今を生きる若者に対して中島は、森崎の精神の軌跡から何かを学び取ってほしい、生き抜いてほしいと静かに叫ぶ。
なるほどたしかに今の時代もまた断層だらけだ。書の中でもグローバル化の下での非正規雇用の問題に触れている。私のまわりにも、幾つもの会社から不採用通知を受けて肩を落とす学生がいる。格差社会という影がゆらめいている。大学という職場とて例外ではない。教職員の中に、この正規と非正規の断層が複雑に延びている。非常勤、派遣、臨時等々。美しいキャンパスの表層を剥げば、幾筋もの「くいちがい」「ずれ」が見え隠れする。かといって勝ち組だの負け組だのといった二分法的な視点だけでは空しいばかりだ。どちら側に立っても立たなくても、居心地の悪さを背負った社会を生きているという悲観の共有があれば望みはある。矛盾に満ちたこの社会をそれでも直視し、生きること。その時、この書の一読は必ずや力になろう。



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