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紹介者 後藤靖宏先生
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書名 サンデートラベラー!週末でも気軽に行ける海外旅行
著者名 吉田 友和
分野 旅行
書評  日本人は、おそらく世界で一番胃腸が弱い人種だと思います。食品の認可基準は厳しく、賞味期限は極めてタイトに設定され、その上消費者も真面目にそれを守ったりしています。ちょっとでもこれを破ると途端にお腹を壊してしまう、そんな気がしている人も少なくありません。
日本人はまた、世界でもっとも清潔好きな国民かもしれません。服は毎日洗濯し、レストランのテーブルは綺麗に拭かれ、トイレにはウォシュレットが完備されています。清潔好きというよりはむしろ潔癖性と言った方がいいほど、こうした例は枚挙にいとまがありません。
さらに日本人は、世界でも有数の歩かない民族ではないでしょうか。エスカレーターやエレベーターはもとより、動く歩道までも整備されています。のみならず、この狭い国土に鉄道網が張り巡らされ、尋常ならざる数の空港があって、どこに行くにしても、歩かずに行けてしまうのです。

さて、本を紹介して欲しいという依頼を受けて、はたと困ってしまいました。正直に言って、僕はあまり本を読まないのです。これまでにいろいろな先生方が紹介された本の一覧を見て、ますます萎縮してしまいました。
専門書や実用書は授業で紹介するから却下。自著も宣伝のようでいやらしいのでこれまた却下。だったら何か文芸作品は!?ということで、ざっと本棚を見回してみましたが、浅田次郎や司馬遼太郎はベタすぎて今更だし、大学以来のファンである村上春樹を語るのはなんだか気恥ずかしいし。
図書館向けということで有川浩の図書館戦争シリーズや、大人買いした海堂尊のバチスタシリーズは?とも考えたのですが、紹介するでもなくみんな読んでいるだろうと思って、これも×。テンペストは映画化されたので本稿が公開されるころはもう先に見た人も少なくないでしょう。その他、伊坂幸太郎、湊かなえ、宮部みゆき、東野圭吾などが上がっては消え上がっては消えしていきました。
万事休す(?)の状態で、最近好んで読んでいる池井戸潤でも紹介するべぃ、と思ったその時、ふと手元を見ると表題の本がありました。

この本は、普通の会社員が仕事の合間に書いたものです。率直に言って、内容は偏っているし(ほとんどがアジアの話)、文章は下手だし(ゼミ生の方が上手な文章を書く)、Amazon のレビューも散々(これ以外の本も含めて)です。そもそもこの本を手に入れたのも機内の暇つぶしにと、成田空港でフライトまぎわに買ったというだけで、特に何か強い思い入れがあったわけではまったくありませんでした。旅に関する本としては、たとえば上述した浅田次郎の「つばさよつばさ」などの方が、よっぽど読み応えがあります。

それでもなお、本書を紹介しようと思ったのは、以下の文章に強く共感したからです。

 町角に出ている何気ない屋台で湯気をあげる見たこともない食べ物、読むことはできないけどどこかエキゾチックな現地語の看板、日本ではあまり見かけないほどにド派手な広告を全面にあしらった公共バスなどなど。目に映るあらゆるものが新鮮で、さりげない異国の日常の光景の中に我が身を置くだけで、もう十分に幸せなのである。

本当に、この通りです。
僕自身、出張であちこちに出かけることが増えましたが、その大半が仕事絡みなので、ほとんど観光らしい観光はできません。授業が15回になってからはこの傾向が特に顕著となり、弾丸ツアーのような日程で行き来することも増えました。しかし、半ば負け惜しみで言うならば、彼の地彼の国に行って、現地の空気を吸い、自分の耳目で現地を確かめるということは、それだけで何事にも代え難い魅力があります。
若者の旅離れが叫ばれて久しいですが、学生さんと話していると、お金がないとか旅行に行くことが怖いとか面倒とか、そうした話をよく聞きます。確かに分からなくもないのですが、そうした大変さを勘案してもなお余りある魅力が、旅行にはあります。

冒頭の日本人評、思いつくままいい加減に書いた何の根拠もないものですが、それでもそうした見方が出来るようになったのは、旅行をして客観的に自分を見るようになったからでしょう。そういう意味では、旅行というのは何も海外である必要はなくて、国内でも普段の日常生活から離れることは全て旅行と言えます。ナショナリズムを知らずしてインターナショナルを語るほどばかげたことはありませんし、日本知らずの世界通は本末転倒です。そもそも僕ら内地人にすれば北海道が「海外」のような存在なので、道外に出るだけでも十分に旅行になるはずです。

まぁ難しい話は抜きにして、とりあえずちょっと旅行でもしてみようかな、そんな気分にさせてくれる本です。勉強の合間にでも、パラパラとページを繰ってみて下さい。



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