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紹介者 畑亮輔先生
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書名 介護退職
著者名 楡 周平
分野 小説
書評  日本は今、他のどの国も経験したことのない“超高齢社会”へと突入しています。しかも、それだけではありません。社会の高齢化に伴う、人口の減少、地域の過疎化などが生じており、多くの課題が押し寄せてきている“課題先進国”となっています。これらの課題は、それぞれが個別に生じているのではなく、相互に関連しあうことにより、さらに多くの難しい社会問題を引き起こしています。
 このような話題を人に話すと、「これからの福祉は大変ですね」とか、「福祉が重要になってくるから、頑張ってください」なんて、何とも他人行儀な反応をされることもしばしばあります。北星学園大学にも社会福祉学部がありますが、もしかしたらそれ以外の学部の学生は「私には関係のない分野の話だな」と考えているかもしれませんね。
 でも、残念ながら(?)これらの課題は日本で生活する全ての人々に関連してくるものです。高齢化によって、皆さんの親戚にも介護が必要になってくる人が多くなってくるかもしれません。あるいは、皆さんの故郷が過疎化してしまい、そこでの生活が十分に保障されなくなってしまう可能性も否定できないのです。
 今回、私がお勧めする本は、そんな日本社会において誰もが直面する可能性のある「介護退職」というテーマを扱った小説です。主人公は東京でエリートサラリーマンとして働く男性です。すべてが順調な生活でしたが、唯一の気がかりは雪深い故郷で一人生活する76歳の母です。息子の受験も迫ってきた冬のある日、恐れていたことが現実のものになってしまいました。突然母の介護を託されることになったこの男性は、自分の仕事を、家族の生活を、そして母親を守ることができるのでしょうか。
 戦後の社会構造の変化と高齢化という問題が、個人の生活に立ちはだかる様子を描いたリアリティあふれる良作です。また、これほど重要なテーマにもかかわらず、あまり暗い気分にならず、エンターテイメントとしても読めてしまうことも、本作品の良さだと思います。
 今後の社会を担っていく学生の皆さんにこそ、この本を手に取って、高齢化や過疎化という問題を身近に感じ、そして考えてもらいたいと思います。また余談になりますが、本作を執筆している楡さんの作品である“プラチナシティ”もお勧めです。こちらは2012年夏に大泉洋が主演でドラマ化されていますので、そちらでもよいかもしれませんね(有料放送ですが…)。



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