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紹介者 西原明希先生
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書名 中国人エリートは日本人をこう見る
著者名 中島 恵
分野 ルポルタージュ
書評  先月、私は北京に行って来ました。9月の反日デモが収束したばかりで、不安を抱えての出張でした。しかし、北京の大学で私が出会った中国人たちは、日本のメディアが伝えるイメージとは違っていました。30代の女性の大学教員は、私が日本人だと分かると笑顔で私の手を握り、「この大変な時期に、よく来てくれましたね。」と言い、私は少し戸惑いました。彼女は「日本では、今回の中国人の反応をどう報道していますか。私たちの中には、この件を冷静に捉えている人間も多いのですが、恐らくそれは伝わっていないでしょう?」と残念そうに話しました。テレビや新聞からは見えて来ないリアルな中国が、そこにはありました。
 さて、ここで本題。フリージャーナリストの中島恵さんは、2010年から約2年間かけて1980年代〜1990年代生まれの中国人エリート層100人近くにインタビュー取材をし、「彼らの日本人観は、日本の中国報道や、日本人が思う『中国人像』をはるかに超えるほど多様で奥深い」と語ります。「愛国教育を受けて、それが逆に日本に興味を持つきっかけになった」という北京の会社勤務の女性をはじめ、都市部の若者の声がカラフルに伝わって来ます。インタビューの内容は、自国の政治への無関心や最近のネット規制への不満、デモに対する率直で冷静な感想にまで及びます。
 この本から中国人の「全体像」が見えて来るわけではありません。恐らく中島さんのメッセージはその逆で、若者の多面的な声の断片を届けることで、「中国人ってこうだよね」とカテゴライズしがちな私たちに(中国人に限らずですが)警告を鳴らしているように思えます。インタビューの中で、上海の大学生が日中互いの「認識不足」について指摘しながらこう言います。「私はもっと世界の色々な人と出会い、意見交換したいと思っています」。世界中の大学生がこう思ってくれたら、どんなに前向きな世の中になるでしょう。最近の中国はちょっと・・・、と思っている人にこそ、この本を読んで欲しいと思います。カフェでコーヒーを飲みながら、気がつけば自分が北京のスターバックスかどこかでインタビューをしているような気分になって、数時間で読み切れる一冊です。気軽に手を伸ばしてみて下さい。



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