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先生に聞く

紹介者 齊藤正彰先生
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書名 生きざまの哲学 : 心安らかに生きるために
著者名 常本慈照
分野 仏教訓
書評  「自分の研究分野に関するものではなく、かつ、自分しか紹介しなさそうな本」というのが、「先生に聞く」シリーズ第1回執筆時の心得だった(ような気がする)。となると、カール・ヒルティは、法学者だし、著名だから、取りあげるわけにはいかない。
 常本慈照(1911年〜2008年)は、北海道に生まれ、京都で学問を修め、僧侶となって東本願寺の教学部長等の要職に就いたが、還俗して北海道庁に入り、青少年対策室長、学事課長、留萌支庁長等を歴任。その後、北海道武蔵女子短大教授も務めた。その遍歴と思索を綴った『親鸞に導かれて : こころの安まるノート』も図書館に所蔵されている(3F一般図書188.74/T)。警察学校や消防学校、北海道自治研修所での公務員研修の講師も長く務めた。これらの講義をまとめたものが、『生と死の哲学 : 愛はいかにして』(みやま書房・1975年)、『眼をつぶって見てこい : 消防人のモラル』(全国加除法令出版・1978年)、『われ一度きりの旅を行く』(立花書房・1985年)である。「眼をつぶって見てこい」は、私には銘肝すべき教えだ。
 本書は、上掲の各書でも探究されている生き方について、読みやすく説いたものである。とは言うものの、現在の読者は違和感をもつ部分もあるかもしれない。そこは、読み飛ばしてかまわない。
 人が、生き生きとして、生きがいを感じるのは、どのようなときか。忙しく仕事ができることを喜び、その仕事を「天職」として大切に思い、ゆるやかに許しあい認めあって安息を感ずる家庭をもち、余暇において自由に選択した何かをする。そのように生きる姿に、人々は美を感じる。「為世灯明 最勝福田(世の中を明るくするために尽くすことが、最も勝れた幸せであり、また財産というべきものである)」(前掲『親鸞に導かれて』207頁)。
 しかし、「美しき生」を求めるときに問われることになる「生きざま」の意味の厳しさ哀しさに思い至ったとき、読者は、再び本書の頁を繰ることになるかもしれない。



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