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紹介者 篠田 優先生
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書名 カラマーゾフの兄弟
著者名 ドストエフスキー
分野 ロシア文学
書評  前号萱野氏に続いて、私も『カラマーゾフ』を勧めよう。
 二十七八の頃、ロシア法を専門にしているのに『カラマーゾフ』を読んだことがないとは恥ずかしいという思いから、義務感で読了した。
 それから二十余年、話題の新訳である。とりあえず、1巻だけ買った。また、義務感が勝つようならやめようと思っていたのだが、読み始めて驚いた。登場人物一人ひとりに実に躍動感があるのだ。乱暴な比喩だが、みな黒澤映画の三船敏郎のようなのだ。「何よりも日本語のリズムに気を使った」との趣旨を別の本で訳者本人が述べているが、むべなるかなである。かくして、後続巻を買い込み、ほぼ一機に読みきってしまった。
 あら筋などはものの本やウエブに任せよう。ここでは、私が再確認したことと発見したことをそれぞれ一つずつ述べて、責を塞ぎたい。
 いわく言いがたい引力を感じさせる登場人物は、今回も、殺される父親フョードル・カラマーゾフだった。<女好きの強欲酒飲みスケベ道化親父>なのだが、そこに紛う方なき人間を見るのだ。
 このフョードルとその長男ドミトリーが共に思いを寄せる高級娼婦グルーシェニカが、この物語に登場する最も美しい女性だと思っていたが、そして確かに美しいのだが、私のハートが釘付けになる女性はカテリーナのほうだと「発見」した。このカテリーナ、父殺しの容疑で裁判にかけられるドミトリーの婚約者である(婚約者がいながら別の女に思いを寄せるドミトリーはけしからん男だが、全編を通じて最も愛すべき男だ)。読み違えであろうが何であろうが、彼女に「絶望の魂のみから出づる美」を私は見る。



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