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紹介者 足立 清人先生
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書名 生の短さについて : 他二篇
著者名 セネカ
分野 ストア哲学
書評  皆さんは、座右の書をお持ちだろうか。評者は、座右の書を二つ持っている。その一冊が、セネカ『生の短さについて 他二編』である(もう一冊は、いずれ、紹介させていただきたい)。
 生きていれば誰でも、どう判断し、どう振る舞うべきかの決断を迫られることがある。2016年末、(人生で何度目か忘れたが)評者にも、それがおとずれた。自らの信念(学問観・教育観)に従うべきか、または、物わかりの良さに流されるべきか(評者は、これを怠惰と考える)、圧力(脅し?)に屈するか・・・。逡巡するなかで、評者は古の賢人との対話を求めて、本書を手に取った。「徳」とは何か、また、自らの人生をどう生きるべきか・・・セネカとの対話を通じて、(自らの決断が正しいのかどうかは分からないが)自分の信念に従うべきだとの勇気を得た。雰囲気・流れに身を任せず、圧力に屈せず、自分のやるべきこと・自らの「自然」に従うべきだ、と。昨今、身の回りでは、「責任」という言葉が軽々しく用いられる傾向があるように思われるが、評者は自らの決断に、(軽々しい意味ではない)責任をもつ(本雑文にも、評者は責任をもつ)。
 読書とは、その著者との対話である。評者は、セネカとの対話を通じて、自らの進むべき道を選択した。学生にも、人生の指針となるべき書物を−できれば、古典と呼ばれる書物から(←背伸びをしなければ、自分の殻を破ることはできないからである)−見つけてほしい。
 ところで、本書の原語は、ラテン語である。The Loeb Classical Libraryのシリーズでは、見開きで、左頁にラテン語、右頁に英訳を読むことができる。英訳、日訳(大西訳)ともに、訳者の解釈が入り込むが、ラテン語原文と、英訳、日訳を対比することで、それぞれの訳者の解釈の相違を発見し、当該相違箇所の意味を、あーでもない、こーでもない、と考えることも楽しい。あるいは、ラテン語原文の読解にチャレンジしてみるのも、苦しくはあるが、面白い。評者はそれらを通じて、古典、さらには、ラテン語の豊穣さと美しさに触れてほしいとも思っている。

…ab illa〔評者注:natura〕non deerrare et ab illius legem exemplumque formari sapientia est. Beata est ergo vita conveniens naturae suae, quae non aliter contingere potest, quam si primum sana mens est et in perpetua possessione sanitatis suae ; deinde fortis ac vehemens, tunc pulcherrime patiens, apta temporibus, corporis sui pertinentiumque ad id curiosa non anxie, tum aliarum rerum quae vitam instruunt diligens sine admiratione cuiusquam, usura fortunae muneribus, non servitura.

(本雑文を提出するにあたっては、当然、原著(ラテン語)を通読した。そもそも読解不明な箇所や、大西訳(解釈)と自分の理解とが異なる箇所が、いくつか存在した。それらは、何らかの機会に言及したいと考えている。あるいは、「セネカを原語で読む会」を立ち上げて、自分の見解を開陳する機会をもっても良いかもしれない。一般的な読後感として、「格好悪い生き方はしたくないよな」と思ったことを付言しておく。)



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