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紹介者 山吉 智久先生
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書名 後世への最大遺物 ; デンマルク国の話
著者名 内村 鑑三
分野 各教派、教会史
書評 「後世への最大遺物」は、1894(明治27)年の夏、箱根で開催されたキリスト教青年会第6回夏季学校にて、内村鑑三が行った講演です。私がこの本に最初に出会ったのは、中学1年生のときでした。その後、折に触れて書棚から取り出して読み、また機会あるごとにさまざまな人に紹介してきました。
 「私に50年の命をくれたこの美しい地球、この美しい国、このわれわれを育ててくれた山や河、これらに私が何も遺さずには死んでしまいたくない」、これに何か記念物(Memento)を遺したい、この世の中を少しでも善くして逝きたい。このような希望を抱くとき、われわれはこの世に何を遺せるでしょう。それは、金(かね)か、事業か、思想か。さまざまな具体例を挙げつつ、これらはいずれも遺すに価値あるものとされます。しかしどれも才能を要するものであり、万人に遺すことのできるものではありません。またその遺し方や用い方を誤れば、かえって害をなしてしまうこともあり、本当の最大の遺物とは言えません。それでは、何人でも残し得る最大遺物とは何か。それは、「勇ましい高尚なる生涯」であるというのです。
 われわれの人生は、常に順風満帆というわけにはいきません。打ち負かされたとき、失敗を被ったとき、世に捨てられて助けを失い、進むべき道を見失うことも少なくありません。しかしそんなときにこそ、「人としてどのように生きるか」が重要であることを教えられます。いかなる艱難辛苦に遭おうとも、どんなに短くとも、どんなに小さくとも、あらゆる人生は、その生き様そのものが、他人にとって、特に同じような境遇に置かれた人にとって、大いなる励ましとなる可能性を秘めているのです。
 この講演の内容は、今日に至るまで100年以上の長きにわたって読み継がれてきました。この小著そのものが、内村鑑三の遺した「後世への最大遺物」の一つであると言えるでしょう。ぜひ人生の若き日に紐解いて欲しい一冊です。



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